■ なぜ月は大きく見えるのか
私たちは物を見るときに眼で見ていますが、実際には眼は単なるセンサーであって、実際に見ているのは脳なのだと言われます。
これはすごく当然な事なのですが、地平線近くの月が大きく見える現象については、眼で見ているとしか思えない思考に陥っていることが、改めて感じられます。
昇り来る満月をとても大きく感じたことは、おそらく殆どの人が経験済みだと思います。 ところが実際に月の視直径を測ってみると、全く大きさが変化していないことが分かるのです。 ここで首を傾げてしまうと、私たちが物を眼だけで見ていると考えてしまっていることになるわけです。
この現象を月の地平拡大と言います。 様々な説があるのですが、なぜ大きく見えるのかについては未だに確固たる説明がついていません。
天頂を見るときと眼の水晶体の厚みが変わるからだとか、眼の構造上の問題を取り上げる説が多いことに驚いてしまいます。
もう一度繰り返しますが、私たちは物を眼で見ているのは確かですが、実際には脳で見ているのです。 壁画に描かれる王の姿が大きく描かれたり、帰宅時にばったりでくわしてしまった空巣犯人がすごい大男に見えたが、逮捕された犯人はそれほどでもなかった。なんていうことはよく聞く話です。
私たちの脳は、様々な条件によっていつもとは全く違った感じ方をすると言うことが、少しずつですが様々な現象から明らかにされ始めています。
昇り来る満月がどうして大きく見えるのか、この疑問についての答えが、もっともっと明確にお応えできる日が来るのもそう遠い日のことではないようです。
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