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Full Moon2010/03/01・3
Full Moon Michael Light,Andrew Chaikin


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はじめに

夕暮れ時、家路へと向かう帰り道で大きく満
ちた満月が昇り来るのを見つけて驚かれた経
験をお持ちの方は多いと思います。

月の満ち欠けは潮の満ち引きやバイオリズム、出産ひいては交通事故や犯罪の発生率まで様々な関わりがあると古くから言われて来ました。

現代科学が解明できたことは未だほんの一握りで多くの事柄は迷信の類いとして追いやられてしまっているのも事実です。

私達は印象的なこの満月についてどのようなことを知っているでしょうか?
夜空に煌々と輝く満月を通して月との関わりや古の暦による風習や文化を感じ取って戴けることを願っています。

満月という強力な存在感が及ぼす影響についてもご紹介して行きます。


月の満ち欠け

月は新月から上弦の月そして満月、さらに下弦の月から再び新月へと満ち欠けを繰り返します。

月の満ち欠けの周期を朔望周期といいますが、朔とは新月を望は満月を指しています。

朔は始まりという意味がありかつて使われていた古い暦(太陽太陰暦)では毎月の始まりが新月で月の満ち欠けが1ヶ月の周期を表していました。

新月から数えて十五日目の夜に昇る月を望月(もちづき)または十五夜と呼んでいました。

平均的な朔望周期は約29.53日で太陽太陰暦(旧暦)では大の月を30日、小の月を29日としていました。
この暦に従えば今日が何日か分かれば月の満ち欠けが分かる事になります。

月の満ち欠けは地球の周りを回る月が朔望周期で太陽を起点として天空を一回りする周期を指しています。

満月とは太陽と月が地球を挟んで真反対に見える時を満月と言います。

正確には太陽の通り道である黄経を基準にして月と太陽の黄経の離隔が180度となる瞬間を含む日を満月としています。


満月夜の月の動き

満月夜の月は太陽が沈む日没時に東の地平線から昇り、日付の変わる夜半に南の空で最も高く昇ります。

翌朝に太陽が昇る日の出の時に西の地平線へと沈んで行きます。
月と太陽は天空を180度離れた真反対の方向いますので真夏の満月は低く真冬の太陽と同じように巡ります。

一方で真冬の満月は真夏の太陽にように空高く昇りますので、凍てつく夜空を煌々と輝く姿が印象的です。

満月は日没から日の出まで夜の間中、夜空で煌々と輝き続けることから古の時代に夜道を照らす大切な照明としての役割も大切なものでした。


満月

満月と聞いて思い浮かぶのは何でしょうか?

狼男の伝説などで知られる人にもたらす悪影響であったりもしますが、月が巡って来たと言って人は幸運が巡ることをそう呼んで来たりしました。

日々の月の巡りを観察していると細かった三日月が次第に満ちて完全な真円へと満ちて行く満月を物事が充実して満ち足りて行く様と重ねて、物事の始まりを新月の時に行えば願いは満月の頃に叶うとし信じて来ました。

また満月夜には海洋生物の産卵等が行われることなどから、出産との関係も古くから伝えられて来ました。

月の満ち欠け=潮の満ち引きとの関係も様々な事象に影響を与えているのではないかと考えられています。

近年になっては様々な医療機関などで綿密な記録を元に月齢との関係について調査を行っており当サイトでも月齢の算出などで様々な協力をして来ました。
現時点での検証としては経産婦や多産婦はより顕著に月の満ち欠けとの関連が見られる事が明確になって来ています。

その他には犯罪や交通事故のほか精神疾患などの発作が月の満ち欠けとの関係が見られることが明らかになりつつあります。
これらのことは月の満ち欠けが私達の精神にも大きく作用しているのではないかと考えられていて多方面での研究が進められるようになっています。

月が及ぼす物理的な力としては潮の満ち引きが知られていますが、実際には海の水だけではなく地殻も月が巡ることで大きく上下していることが分かって来ています。

これからのことから大陸のプレートがぶつかり合う地点での地震の発生に月の満ち欠けがきっかけを与えているのではないかと言われています。

この他にも葬儀の発生数や風俗店の来客数など様々な業種の方々から月との関係についてお問い合わせを戴き調査協力などを行って来ましたが、多くの場合に月齢との因果関係が認められています。

学術的な統計として行くには調査件数の不足もあり今後の調査をより大規模に行う事が必要となっています。


満月は名月だけではない

十五夜はお月見・名月・仲秋の名月などと呼ばれ、古くから観月の好時節とされすすきを飾り、月見団子や秋の収穫物などを盛って神酒を供えを眺めて楽しんだと言われています。

仲秋の名月には秋の収穫物への儀礼としての役割があったことに由来していて、日々の月を眺めるというよりも行事的な意味合いが強く残っています。

現代の太陽を基にした暦では月の満ち欠けを知ることは出来ません。

日々の月の巡りを知ることで旧暦を用いた行事や風習を正しく理解して本来の意味を知ることが出来ます。

七夕などの節句も新暦に日付だけを合わせたものでは本当の季節とは大きくかけ離れたものとなり、梅雨時に星が全く見られない七夕を祝うのでは本来の意味を知ることも出来なくなってしまします。


旧暦の満月

太陽太陰暦は月の満ち欠けを基にした暦で、古くは多くの国々で採用され月の満ち欠けや季節などに関係した行事や言い伝えも数多く残っています。

しかし、近年ではすべて新暦に当てはめてそのまま伝えてしまうことが非常に多く本来の意味を知ることさえ出来なくなってきています。

日本を始め世界の国々では旧暦の月の満ち欠けを基にして、満月にとても印象的な名前を付けて呼んでいました。

特に最近目立っているのはネイティブアメリカンなどが呼んでいた満月の呼び名で、本来は旧暦で呼ばれていたものを新暦に当てはめてそのまま紹介してしまっています。

季節の収穫物やその時期の動植物から得た名前が多く当てはめられていますが、およそ1ヶ月から2ヶ月近く掛け離れた新暦に当てはめてしまっては、何の為の呼び名であったのかすら分からなくなっています。


満月を見よう

日本はつい最近まで月を暦の基準として捉えていました。
西洋に遅れること300年あまり月を慈しみ愛でてきた民族であったと誇れるほどです。

およそ10世紀にも及ぶお月見伝統は高度化された現代社会の中でも決して忘れてはいけないものだと思います。

私達日本人は西洋から様々な場面で尊望の眼差しで見られることが多くなっています。

それは長い歴史の中で培われた独特の文化によるものであったり、漢字とひらがなを織り交ぜた非常に表現力豊かな日本語によるものと考える研究者も多くなって来ています。

古くからの月の暦を大切にし月の満ち欠けに伴う行事や風習の本来の意味を理解して、より日本人としての繊細さや思いの深さなどを失わずに行く事が大切なのでは無いかと思います。

夜空の月を通してより多くの方との繋がりが増して行く事を心から願っています。